スーの真の死因が判明! 巨大羽毛恐竜のムダ毛処理・素肌ケアに潜む死の恐怖!!

 かつて、恐竜はトカゲや蛇のごとく体表を覆う皮膚が鱗として復元されてきたという。
ただ、近年はある種の恐竜化石で恐竜に体毛が生えていたことが確認、また、鳥の先祖にごく近縁と判明して以来、ほかの恐竜にも体毛が確認、または少なくとも推測されるようになった(鳥の先祖に近い種類の恐竜の仲間には、すでに羽毛も含めて化石として出土している種類もある)。

 そんな中、ティラノサウルスの化石で"スー"と呼ばれる個体がある。
いわば、近似種のディロングには羽毛があったとされ、また、幼生期は羽毛が生えていたという説もあるティラノサウルスだが、成体になってもある程度羽毛が生えていたのではないかと推測する向きもある。

 ところで、そのスーの死因だが、それは同種のティラノサウルスに襲われたのではなく、通説ではスーを襲ったとされるティラノサウルスが、スーの羽毛を脱毛する時に与えた怪我が原因であるということが、とある筋より入手した近日発表予定の論文にて判明した。

 恐竜は前述のように、トカゲのような爬虫類だという1970年代頃までにあった見識では変温動物と言われてきたが、むしろ1990年代後半以降に発見された羽毛化石の存在で類推されるように、哺乳類や鳥類同様の恒温動物であるという説が有力視されている。
よって、羽毛が生えて高体温となり熱中症になりやすくなった大型恐竜だが、哺乳類のようには汗をかくことはなく、近縁種の鳥類と同様に羽毛のほかに気嚢も使い体温を調節していたと言うことである。
彼らは、そういった気嚢を使った身体の冷却がうまくいかなかったときは、仲間同士で体温の急上昇の原因になりかねない羽毛を口先や歯を使って剃り熱中症を予防していたのだろう。

 そのスーの新たな死因についての論文の要点をかいつまんで伝えると、

1. スーの死亡した時期は特に高温だった。
2. スーにかみついたとされるティラノサウルスもおそらく生えすぎた羽毛で熱中症になっていた。
3. そのティラノサウルスの意識が熱中症によりもうろうとして剃毛する加減ができなくなっていた。
4. 噛み付いた側のティラノサウルスが剃毛するのに結果として力が入りすぎた。
5. さらに熱中症で倒れる寸前になり姿勢を正そうとしてスーを思いきり噛んだ。
6. その噛まれた傷跡から、スーの死因となったトリコモナスによる感染症を引き起こすことになった。

ということになるらしい。

 なお、論文によれば、スーに噛み付いてしまったとされる側のティラノサウルスは噛み付かれたスーに暴れられ驚き逃げ出して、先に起こしていた熱中症のほかに心臓発作でそのまま絶命した可能性を示唆している。

 人間の世界ではおしゃれの一環扱いとされる脱毛も、恐竜の間ではまさに死活問題とされるまでの重大さを有していたのだろう。

事の真相は、日付を見よ。